「退職代行」は、まだ一般的とは言えないサービスです。そのため依頼者様の中には、様々な疑問や不安を抱いている人も少なくありません。
そこで以下では、退職代行依頼時によくある疑問とその回答を、4つのジャンルに分けて合計20個紹介します。
退職代行を依頼するかどうか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
退職時の手続きについて
上司が退職届を受け取ってくれるか心配です。本当に辞められますか?
A 辞められます。自主的な退職は民法で認められている、労働者の権利です。
もし上司が退職届を受け取らない場合でも、内容証明郵便を使って送れば、会社が受け取ったことが証明できます。
ちなみに、それでも会社が退職を認めない場合は、労働基準監督署に相談することで解決することもできます。
なお退職届の作成・提出方法については、【弁護士監修】退職届のフォーマットと提出手順で詳しく解説しています。
※依頼者様の代行で労働基準監督署に電話相談することも可能ですが、場合によっては依頼者様本人でなければ対応してもらえないケースもあります。
有給休暇が残っているのですが、消化してから退職することは可能ですか?
A 基本的には可能です。
会社は労働者から申請があった場合、原則申請された通りに有給休暇を与えなければなりません。
会社側には「時季変更権」という、業務上やむを得ない都合がある場合に有給を与える時季を変更する権利がありますが、これはあくまで在職期間中の話。
退職代行での退職のようにすぐに退職する場合、変更するための時間的猶予がありません。そのため会社側は有給休暇の申請を拒否することができないのです。
そのため、たいていのケースでは有給休暇を消化してから退職できます。
ただし一般的な退職代行サービスでは、会社に有休消化のご要望をお伝えすることはできますが、会社側が拒否した場合は交渉することができません。
こうした交渉になった場合は、依頼者様本人に対応いただくか、弁護士の力が必要になります。
会社に置いている私物はどうすればいいですか?
A 先に持って帰っておくのが確実ですが、難しい場合は郵送で送ってもらえるよう、会社側にお願いすることができます。
このほか、退職代行で会社を辞める前に、できればやっておいた方がいいことを退職代行サービスに申し込む前に準備しておくといい6つのことにまとめています。
社宅に住んでいる場合も退職代行で辞められるのでしょうか?
A 問題ありません。多くのケースでは退職した月の末日が退去日になります。鍵などは郵送による返却でOKです。
なお、当会から退去日の希望を会社に伝えたり、鍵の郵送先を聞いたりすることもできるため、社宅にお住いの場合はご相談ください。
社員証や保険証、スマホやパソコンなどの返却物はどうやって返せばいいのでしょうか?
A 郵送による返却でOKです。返却物のリストや返却先の住所などは、退職代行業者から聞いておくことができます。
このほか、退職後に自分でやらなければならないことを退職代行サービスを申し込んだ後にやるべき4つのことにまとめています。
こちらも参考にしてください。
退職書類を受け取るために会社に行かなければなりませんか?
A 離職票、雇用保険被保険者証、年金手帳などの必要書類は、会社から依頼者様へ郵送してもらうため、会社に行く必要はありません。
郵送されて来ない場合は個別の対応をすることになります。
【一覧】退職時に受け取るべき書類って?会社が発行してくれない場合はどうしたらいいの?で詳しく説明しているので参考にしてください。
これまで何度も引き止めにあっています。それでも退職できますか?
A 退職できます。「人手不足」「次の人が決まるまで」「待遇を考え直すから」など、会社は色々な理由で引き止めようとします。
しかしこれらは法律的な観点から見ると会社からの「命令」ではなく、「相談」です。したがってそこに強制力はありません。
そのため本当に退職したいのであれば、自分の意思を優先しても問題ありません。
退職届は最短で退職日の2週間前にしなければならないと聞きました。有給が残っていない場合は、その期間は無断欠勤になるのでしょうか?
A 出勤しない旨を伝えるため、無断欠勤にはなりません。ただし有給が残っていないので、2週間分の給料は発生しません。
また会社側としては2週間籍を残すと、それだけで保険料などの経費がかかるため、即日で退職させてくれるケースもたくさんあります。
仮に会社側が2週間籍を残したままにしておいたとしても、依頼者様が会社に行く必要はもうありません。
給料・退職金・退職後の生活資金などについて
退職する月の分の給料はもらえますか?
A もらえます。給料は労働の対価ですから、きちんともらって辞めましょう。
会社が退職金を減額することはありませんか?
A 原則ありません。退職金の減額が法的に認められる条件はかなり厳しく設定されています。
退職代行による退職で、会社の経営が傾くような影響が出ない限りは、たいていの場合減額は認められません。
会社からお金を借りているのですが、それでも退職はできますか?
A 従業員貸付制度などを利用して、会社からお金を借りている場合も退職することは可能です。
ただし返済等に関しての問題については、代行業者は介入することはできません。
給料が手渡しなのですが、辞めてから受け取りにいかなければならないのでしょうか?
A 原則受け取りに行く必要はありません。会社側に銀行振込・現金書留にしてもらえるようお伝えします。
たいていの会社は、いずれかの方法で対応してくれます。
ただし最終的にどのように対応するかは、会社側が決めることなので、「100%銀行振込・現金書留で受け取れる」と約束することはできません。
退職金などについてトラブルになった場合、会社と交渉してくれますか?
A 可能です。
そうした交渉は、弁護士法72条で禁じられている「非弁行為(弁護士以外の人間が報酬目的で法律事務をすること)」に当てはまるため、対応していない退職代行業者も少なくありません。
就業規則・法律などについて
退職代行を使って突然退職することで、会社から損害賠償請求されることはありませんか?
A 「ほぼない」と考えていただいてOKです。
上司などが「訴えてやる!」と言ってくる可能性はありますし、会社には損害賠償を請求する権利もあります。
しかし訴訟費用などを考えると、会社側にメリットはないため、実際に裁判になるケースはほとんどありません。
就業規則や会社側の損失を理由に、懲戒解雇になることはありませんか?
A 退職前から懲戒解雇に値するような問題を抱えているようなケースを除き、一般的にはあり得ません。
懲戒解雇は就業規則で定められる処罰の中でも、最も重い処分です。そんな処分を「急に退職されたら会社が困る」という理由だけで与えることはできません。
就業規則に「退職は会社が承諾した場合にのみ認められる」と書いてありますが、退職することはできますか?
A 退職できます。就業規則で定めているルールよりも、労働者の退職の自由を定めている民法の方が強力なルールだからです。
社内規定で「退職は1ヵ月前に通知すること」とされています。それでもすぐに退職できますか?
A 退職できます。民法第627条によって、期間の定めのない雇用契約に関しては、いつ退職を申し出ても良く、かつその申し出から2週間経てば退職したことになると定められているからです。
会社から依頼者様・家族への連絡について
会社から連絡が来たり、家に訪問してきたりすることはありませんか?
A 依頼者様への連絡や、ご自宅への訪問をしないよう当会から会社側に伝えることはできます。
法的拘束力はないため、100%連絡や訪問がないと言い切ることはできませんが、たいていの会社はご要望通りにしてくれるので、ご安心ください。
万が一連絡が来ても対応する必要はなく、訪問があっても無視するか、「警察に通報します」と伝えることで帰っていくケースが大半です。
親になりすまして、退職の意思を伝えてもらうことはできませんか?
A ご両親へのなりすまし等は後日トラブルになった場合に、依頼者様の立場を悪くする可能性が高いため、ほとんどの会社がお断りしております。
なりすまし等をしなくても「ご両親等への連絡はしないでください」と当会から会社側に伝えるだけで、ほとんどのケースは解決しますのでご安心ください。
まとめ
ここで紹介した疑問以外にも、気になっていることや不安なことがある場合は、お気軽にお問い合わせください。