あなたは、今の仕事をするためだけに生まれてきたのですか 48歳からはじめるセカンドキャリア読本を読みました。
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あなたは、今の仕事をするためだけに生まれてきたのですか ―48歳からはじめるセカンドキャリア読本 中古価格 |
いいえ、むしろ読後感としては「30代のいま、読んでおいてよかった」と思えたものでした。なぜなら、ミドルシニア(48歳前後)が陥る「人生、仕事、これで良かったのかな」という悩みに対する、ひとつのアンサーが本書にはあったからです。
本書は問いかけからはじまる
1ページ目を開くと、とつぜん、読者であるわたしに2つの質問が投げかけられました。
問1
「自分の人生の目標や、自分がやるべきこと、自分が心底からやりたいことや、なりたいと思っている自分像などが明確にわかっていて、何ら迷いがない」
問2
「問1の結果に関わらず、人生そのものをあきらめているわけではない」
これによって現状を4パターンに分けられます。
問1がYES 問2がYES →順風満帆の”キャリアの達人” 問1がNO 問2がYES →前向きだけれど悩みがある”” 問1がYES 問2がNO →望みがかなわず賃貸している”” 問1がNO 問2がNO →悟ったのか、あきらめたのか、”現状肯定派”
あなたはいかがですか?いずれにしても、この導入部は「あなたはいまやっているその仕事だけで人生を終われない、終わりたくない可能性」に気づかせてくれる、本書の肝となる部分です。
本書のテーマは「可能性」
読み進めていくうち、「可能性」というキーワードがよく出てくることに気が付くと思います。
「わたしはこの道30年。いまさら、ほかのキャリアなんてむりじゃないか……」
多くの人はこんなふうに、自分の枠を自分で規定しています。でも、これは長年の幻想で、こういった枠を外すことができればまったく新しい世界が広がっていることを、著者は何度も繰り返します。
数十年という人生で複雑に絡まった思考の糸をほぐすように、丁寧に、繰り返し、言葉を変えながら「あなたにもできます」ということを説きます。
枠を外すこと
「何とか60歳までは会社にしがみつこう」とするあまり、ジリジリと疲弊してストレスをためこんでいるのではなく、発想を転じて、求められた新天地で能力を発揮し成長に貢献する。そこで過ごす時間は、何よりの生きがいになっていくはずだと確信しています。
自分を縛っているものは何かありますか。
・「いまさら別業界に転職してもやっていけない」という思いでしょうか。
・「田舎暮らしには憧れるけど向こう十年は無理」という漠然としたスケジュール感でしょうか。
・「だって、嫁も子どももいるんだよ」という勝手な思い込みでしょうか。
・どうして別業界はダメだと決めたのでしょうか。あなたの今まで培った能力は本当にどこからも必要とされていないのですか、誰かがそう言ったのですか。数ある成功例と、あなたの違いは何ですか。
・どうして今すぐ田舎に行けないのでしょうか。数日間は暮らしを体験してみましたか。ご当地のハローワークや求人は確認しましたか。年に何円あれば田舎でも暮らせますか。
・嫁さんとお子さんに、お父さんはやりたいことがあると伝えたことがありますか?ただ漠然と伝えるのでなくて、具体的に伝えられますか。リアリティをもって伝えるには、まず自分自身の頭の中が具体化していないといけません。
いかがでしょうか、なんだかやれることがたくさんあると思いませんか?
おわりに。「社会が変わらないなら、自分が変わる」という選択
支援会として興味深いくだりがありました。
”フレキシキュリティ”という言葉が流行ったことがあります(中略)フレキシブル=柔軟という言葉とセキュリティ=安全という言葉の造語です。
雇用の安全・保証というと、解雇をしないこと、その会社のなかで雇い続けることと解釈しがちですが、そういう意味ではない。柔軟に人を外に出す。ただ、外に出された人がまた次の職場をみつけられるような仕組みづくりが先行して行われている。人材を流動化することによって、職を得続けることができるようにするという意味ですね。言ってみれば、ひとつの会社の中での終身雇用ではなくて、社会の中で流動性を伴った終身雇用を実現しようという考え方です。
退職したあとも、すぐに自分のキャリアに合った職にありつける。そんな「フレキシキュリティな社会」を目指している国もあります。
では、日本はどうでしょうか。「働き方改革」という方針を打ちだしましたが、いまだ”フレキシキュリティ”には遠く及ばないとわたしは思います。中高年層の転職活動がいかに厳しいかについて本書でも隠さず書いていますが、この状況が今後10年、20年で好転するかと言われると、難しいと言いますか、無理な話でしょう。
かといって、「中高年の転職を受け入れない社会が悪い」と開き直るのは、それこそ本末転倒ですよね。社会レベルが、国家レベルが変わらないなら、自分が変わるしかないのです。「自分には無理だ」「営業一筋だったから他のことはまったく出来ない」という囚われた考え方を変えるしかないのです。
その背中を後押ししてくれるのが、著者の立ち上げた「社会人材学舎」なのだと。その思いがあって「社会人材学舎」を通じて塾を運営しているとのことです。
これも社会問題に対するひとつのアンサーですね。「社会にこんな問題がある→だから政治家になって変えよう」といった発想も頼もしい限りですが、「社会にこんな問題がある→だから会社員の意識から変えよう」と塾を立ち上げるのも、とても手早く結果に直結する、いい手法だと思います。
支援会もそんな団体でありたいと願っています。
「いつ行動を始めるかなど、人生の幸福を追求するうえではまったく関係ありません。自分にとって、一番必要な時期にスタートを切ればいいのです」
支援会は「退職」を基軸にサポートする。日々行動あるのみです。
外部リンク:社会人材学舎