セクハラか否かで争われた判例と、その結果をシンプルにまとめました。
セクハラが認められた判例と結果
1.損害賠償請求事件 平成20(ワ)5038 平成21年10月16日
・加害男性は、休憩中に被害女性の肩をもんだり、腰や尻をさわる、太ももを密着させる、身体を密着させるなどを行った。
・被害女性がセクハラ行為であると主張したところ、加害男性は「あんたセクハラがどういうことかわかってんの。セクハラなんてどこでもまかり通っていることだ」と言い、被害女性の眼の前で他の男性従業員に対し「彼女に近づいて話をしたら,セクハラで訴えられるで。」と言った。
・被害女性は会社にセクハラ被害を申し出たが、被害男性に「誤解を受けるような行為をしないように」と注意するに留まった。
結果
・加害男性と、報告を受けていながら対策を行わなかった会社に対し「88万円の支払いが妥当である」との判決が下った。
全文:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/117/038117_hanrei.pdf
2.損害賠償請求事件 平成19(ワ)911 平成21年8月31日
・加害男性は、繁忙時などに被害女性に対しニヤニヤしながら尻をなでまわす、菜箸で乳首をつまもうとする等の行為を繰り返した。
・コンドームを机から取り出し見せて「やろうか」と言った。
・その他にも、スリーサイズをたずねる、尻や胸を凝視するなどがあった。
結果
・加害男性と会社は、被害女性に対し「約333万円の損害賠償の支払い義務を負う」という判決が下った。
全文:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/123/038123_hanrei.pdf
3.アデランス セクハラ訴訟
・加害男性は被害女性に対し「数字を達成できなかったら彼女になるか、研修、もしくは転勤だ」と発言。その他にも無理やりキスを迫ったり、身体をさわるなどした
・被害女性は警察に被害届を提出しようとしたが、会社の幹部から止められる
・女性は精神不安定となり休職。その後PTSDと診断。
結果
・加害男性と会社は、被害女性に対し1300万円の和解金を支払うこととなった。
・また男性の勤務地および出張先は、女性の居住する京阪神地域を避けるように努めるよう、和解条項に盛り込まれた。
関連リンク:https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/156563
支援会>番外として、北米において男性上司に対し、女性部下がセクハラ被害で約215億円の支払いを求めた裁判があります。被害者も加害者も日本人ですが、アメリカ流の懲罰的金額となっています。Wikipedia:北米トヨタ自動車セクハラ訴訟事件
セクハラと認められなかった判例と結末
1.解雇無効の確認などを求める裁判
・男性教授と、女子学生が交際。性的関係を持ち、約8000通のメールをやり取りする。
・約2年後、男性との関係がこじれた女子学生は「セクハラ被害を受けた」として大学に対応を求めた。
・大学は2人から事情を聴き、ハラスメント行為と判断。男性を懲戒解雇とした。
・しかし男性はこれを不服として大学側を提訴。
結果
・8000通のメールを確認すると、女子学生がセックスを望んでいる言動、親密な言動、その逆の言動とさまざまではあったが、「相手の望まない性的言動とはいえない」として「懲戒解雇は違法」と判断
・ただし「このメール内容から、大学側が女性の被害申告を信用するのもやむを得ない」として損害賠償までは認められないとも判断
・男性は退職金54万円の請求のみ認められた
関連リンク:産経WEST セクハラか否か、裁判官たちを悩ませた“被害者・女子学生”8000通のメールの「中身」
関連リンク:論説 セクハラ事件の特徴と自由心証主義 萬井隆令
2.その他の敗訴例
外部リンク:セクハラ判例 敗訴判決例
上記サイトに「証拠不十分」などの理由によりセクハラ被害の訴えを棄却された例が載っています。
※支援会では該当する判例データベースを入手できなかったため、リンク先の紹介のみです。
おわりに
セクハラされた側は被害のショックで仕事もプライベートにも身が入らず、つらい思いをされます。
もしもあなたがセクハラ被害にあわれているかもしれないと感じたなら、次の記事もお読みください。