労働基準監督署とは?労基へ相談する前に考えておきたいこと

長時間のサービス残業、上司からのパワハラ、度重なる休日出勤……。こうしたことが続けば「うちの会社はブラックだ!労基に駆け込んでやる!」と、怒りが限界を迎えても仕方がありません。

確かに労働基準監督署(労基)は、企業が労働関係の法律を守っているかどうかをチェックする機関です。本当に今勤めている会社が法律に違反しているのなら、労働基準監督署が動いてくれる可能性はあります。

一方で対応してくれない場合や、対応してもらうために様々な手続きが必要な場合も少なくありません。そのため、ただでさえ仕事で疲れ果てた心と体に鞭打って労基に駆け込む意味があるのかどうかは、あらかじめ考えておく必要があります。

以下では労働基準監督署が対応してくれる場合・対応してくれない場合を解説するとともに、労基に駆け込む前に考えておきたい大切なことについてお話ししたいと思います。

労働基準監督署ってそもそも何?

クエスチョンマーク

労働監督基準書(以下、労基)は地域ごとに設置された厚生労働省の出先機関です。主な仕事は、労働基準法や労働契約法、労働組合法といった労働に関する法令について、企業を取り締まることです。

企業と労働者は、本来対等です。労働者は「労働力」や「時間」を企業に提供し、企業はそれに対して相応の給料を支払うという関係にあるからです。

しかし得てして労働者は企業よりも弱い立場になりがちです。「今の仕事を辞めたら生活が立ち行かなくなるかもしれない」と考えると、労働者側が強気に出るのは難しくなります。

そのために労働組合があるわけですが、全ての企業に組合があるわけではありません。結果、労働者側が企業側の都合に振り回されるケースも少なくありません。

労基はこうしたアンバランスを調整するために、労働者側が労働問題を申告する先として存在している機関なのです。

「労基に駆け込む」と何をしてくれるの?

ヘルプ

とはいえ、労基がすべての労働問題に対応してくれるわけではありません。なぜなら労基には、労働関係の法律に関する問題にしか口を出せないという制約があるからです。

労働基準監督署が対応してくれる場合

・賃金の未払い
・残業代の未払い
・「36協定」に基づかない残業
・不当な理由による解雇
・休憩時間がない
・有給休暇を取得しようとすると拒否される
・給料が現物支給
・辞める意思を伝えているのに、無理に働かせられている
・月の休みが4日に満たない など

上記の9つの項目はいずれもはっきりと法律違反と断言できるものばかりです。労基が厚生労働省の出先機関として動くことができるのは、こうしたはっきりと法律違反と断言できるものだけ。

個人が「こんな働き方、おかしい!」「あの上司はどう考えても倫理的に問題がある!」と確信していても、現在の日本の法律でグレーゾーンなのであれば、労基が動くことはできません。

労働基準監督署が対応してくれない場合

・上司からのパワハラ、同僚からのいじめを何とかしてほしい
・解雇理由が不当に感じるので判断してほしい
・「懲戒処分」を言い渡されたが、処分理由が正しいかどうか判断してほしい
・人事評価に納得がいかないから正当性を審査してほしい など

一方で、上記の4つのような項目は法律に照らしてみると、違法かどうかを判断するのが難しいケースの典型例です。

こうしたグレーゾーンのケースのほか、法律に明記されていないような事案、個人が自由に判断するべきもの、あるいは民法に関する事案などについては、労基の仕事の範囲外となるため、基本的には対応してもらえません。

「労基に駆け込む」のハードルはけっこう高い

ただし、仮に「自分の目から見れば明らかな法律違反だ」と思えたとしても、労基からすれば安易に判断するわけにはいきません。労基が企業から労働者を守るための機関だと言っても、労働者をえこひいきするわけにはいかないからです。

そのため、労基に相談に行った場合、本当に労基が対応するべき事態かどうかを判断するために、労働者側に状況の説明や、証拠の提出、資料の作成など、様々な手続きが求められることがあります。

場合によっては、3回、5回と相談員との面談の場が設けられる場合もありますし、相談員の面談をクリアしても監督官(相談員の上位職)の面談で「対応不可」が言い渡される可能性も十分あります。

会社を告訴するとなった場合には、労働者側は裁判関連の手続きにも対応しなければなりません。

一口に「労基に駆け込む」と言っても、そのハードルは想像以上に高いと言えるでしょう。

労基に駆け込む前に考えておきたい大切なこと

考える女性

こうした事実を踏まえて、労基に駆け込む前に考えておきたいのは「そこまでして自分は何をしたいのか?」です。

「違法な労働環境で働かせた会社が許せない!」という正義感があったり、「訴えが認められれば相応の残業代などが手に入る」など労力に見合ったメリットがあったりするのであれば、労基に駆け込むのも有効な選択肢でしょう。

しかし「ともかく今の状況が苦しい」「自分のQOL(人生の質)を改善したい」ということなら、労基に相談する以外の選択肢―――例えば会社を辞めて、転職を考えたり個人でビジネスを始めたりといった選択肢も、検討する価値があるはずです。

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まとめ

確かに労基は、企業の労働環境を取り締まる機関です。しかし同機関が対応してくれるのは、はっきりと法律に違反しているケースだけ。その場合にも、様々な手続きをクリアする必要があります。

そうしたハードルを乗り越える気力とメリットがある場合は別ですが、過重労働で心身ともに疲れ果ててしまっている人は、下手に労基に駆け込んでも時間と労力が無駄になる可能性があります。

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