結論から言うと、「言われた、されたあなたが不快だと思えばセクハラ」です。
ただ、それだけでは「わたしが不快だと思ったからセクハラだ!」がまかり通ってしまうのも事実です。だからこそ判断基準というものを設けています。
セクハラの判断基準
「被害者の主観を重視しつつ、一定の客観性も必要」としながら、被害を受けたのが女性なら「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、男性の場合も同じく「平均的な男性の感じ方」を基準とするのが厚生労働省の見解です。
言い換えると「されたあなたが嫌に思ったかどうかが一番重要だけど、平均的な感じ方と照らし合わせないと外部からは判断しづらいよね」ということです。
セクハラの定義
男女雇用機会均等法では、セクハラを以下のように定義しています。
対価型セクシュアルハラスメント | 職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること |
環境型セクシュアルハラスメント | 性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じること |
【対価型セクハラの例】
・上司が部下の腰や胸にさわったが、抵抗したため、不利益な配置転換をした
・社長が社員の性的な話題を公然と発言していたが、抗議されたためその社員を解雇した【環境型セクハラの例】
・上司が部下の腰などに触るので、部下が苦痛に感じて就業意欲が低下している
・同僚が周囲に対し、性的な内容の噂を流したため、仕事が手につかない
厚生労働省:職場でのハラスメントでお悩みの方へ
女性部下が男性上司から被害を受ける「典型的セクハラ」が最多ケースですが、男女の被害が逆であったり同性同士であったとしてもセクハラは成立します。
これってセクハラ?例(全部セクハラになり得ます)
・「男だろ?しっかりしろよ」「女なんだから…」
・「カマ、ホモ、レズ」「あっち側」
・「○○くんってもしかして童貞?」
異性、同性が言おうと関係なくセクハラになりえます。「ゲイ」も状況によりセクハラになりえます(2016年改正セクハラ指針で明確化)
・「○○ちゃん」「○○くん」「おばさん」「おじさん」
本人が内心で嫌がっている場合、セクハラになります。
・「結婚は考えてないの?」「彼氏(彼女)できた?」
・「土日なにしてるの?」「ふだん家で何してるの?」
業務と関係なく、相手が内心で嫌がっているならNGです
・「少しやせた?」「やせたよね」
繰り返しになりますが「相手が不快に思えばセクハラになり得る」のが現代の解釈です。
「それくらいのことで」は通用しない
・「それくらいのことでセクハラになるものか」
・「冗談も言えない。息苦しい職場になる」
こういった論法は、すでに通用しません。「相手が冗談と受け取れない」時点でアウトになります。「うちの業界、職場では問題ない」というのもおこがましい考えで、相手が心のなかでどう思っているかなんて、分かるはずがありません。
今後、新しい社員が入ってきた際に冗談で下ネタが飛び交う職場だったらどう思うでしょうか。イエローカードが積み上がればいずれレッドカードになります。
セクシャルに関係のない会話は他にもあります。わざわざスレスレの話題をせめる必要はありません。
二次セクハラとは
厚生労働省の配布する事業者向けガイドラインによると二次セクシュアルハラスメントとは「相談者が相談窓口の担当者の言動などによってさらに被害を受けること」と書いてあります。
意を決して相談窓口に行ったのに
・「それってあなたの思い込みじゃないの?」
・「それを問題にしたら何も言えなくなるよ」
などと言われること自体、セクハラ被害の一種とみなされるのです。
争う場合は証拠を
性的な言葉をかけられたり、触られたり、ホテルに誘われてそれを不快に思うならば、それはりっぱなセクハラです。
限度を超えたセクハラが行われた場合、これを争ったり、金銭的な補償を受けたい場合はより客観的な証拠が重要となってきます。証拠となりうるものについては次の記事をご覧ください。