年次有給休暇(有休)はすべての労働者の持つ権利

年次有給休暇(有休、有給、年休など)は、貰える条件にさえ当てはまれば、すべての人が貰える大切な権利です。ご自分がどれくらい貰えているのか、再確認しましょう。

有休の基本情報

すべてに共通する情報

  • 働いて6ヶ月が経過すると、かならず付与
  • ただし8割以上欠勤などなく出勤していること
  • 6ヶ月後以降は、1年ごとに付与

また、試用期間があったかどうかなども関係なく雇用開始1日目から有休6ヶ月のカウントが始まる。

メモ:法律上では雇用から6ヶ月経過で初めての有休付与ですが、会社によっては就業規則で、「毎年10月1日に付与」などと定めている場合もあります。その場合、10月1日時点で勤務6ヶ月を満たしていなくとも、「6ヶ月を満たしたものと扱われる」のが法律の解釈です。
ご自分の勤め先がどうなっているのか、いちど就業規則で確認してみると良いでしょう。
なお、法律で定められていることよりも労働者の不利になる規則変更はできません。

付与日数

・正社員などフルタイムで働いている方(週30時間以上&年間217日以上の出勤している方)

勤務年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年
有休付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

・フルタイム以外で働いている方

それぞれの出勤日数によって以下のとおり

年間出勤 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年
169~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
121~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
73~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
48~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

有休は付与から2年で消滅

有休は付与された日から2年が経つと時効をむかえ消滅します。さらに有給を消化するときは、一般的には自動的に期限の早い順から消化されるのですが、会社によっては本年度分、つまり期限の残っているほうから消化されるよう定めているところもあります。

メモ:「使用期限の遅いほうから消化とする」というのは労働者側に不利な取り決めだと思うのですが・・・。法律ではその点には特に触れておらず、「事前の合意があれば問題ない」というのが現状の解釈のようです。今後、誰かが「これはおかしい」と訴え出た場合、判例が作られるかもしれませんね。声を上げたい方がいましたら、わたしも協力いたします。

会社の持つ権利「時季変更権」

有休は労働者すべての権利ですが、実は会社側にも「有休を取らせない権利」を1つだけ持っています。それが「時季変更権」というものです。

労働者が「この日に休みたい」と言った場合、会社が「その日はダメ」と回答できる権利のことです。

しかし、時季変更権を使ってよい状況というのはたいへん限られています。会社側は労働者に有給をとらせる最大限の配慮を行って、それでもダメだった場合にはじめて有休を拒否できるのです。また「ただ慢性的に忙しいから・人員不足だから」では時季変更権は使えません。

さらに「いつでもいいから有給を消化させてください」と言った場合、労働者は時季を指定していないわけですから、会社は「時季変更権」も使えず、拒否できません。

参考リンク:独立行政法人労働政策研究・研修機構
Q11.使用者が従業員の年休の請求を拒否できるのはどのような場合ですか。

有休は退職前に使い切るのがベター

会社によっては、残念ながら毎年有休を使い切れない(使い切らせてもらえない)ところも多いのが現状です。そんなとき、せめてもの使いきれる場面として「退職前」があります。

たとえば常識的には、「30日後に最終出勤日を迎えたい」と考えていて、かつ有休が20日間残っているとすれば、30日+20日=50日後を退職日に指定すればいいわけです。この辺は、退職を切り出す際などに上司と相談することになるでしょう。

退職前に買い取りはしてもらえるのか

会社は退職時に、未使用分の有休を買い取らなければいけない義務はありません。買い取っている会社も存在しますが、あまり多くはないのが現状のようです。有休はなるべく消滅させずに使っていきたいところです。

メモ:退職時以外の「有休の買い取り」は違法です。なぜなら普通に働いているときの有休買い取りも可能としてしまうと、「有休(=休養日)を買い取ってやるからそのぶん働け」と言い出す企業もあるかもしれず、有休本来の意味を損なうからです。だからこそ退職時だけが特例として認められています。

有休が14日残っていれば、いつでも会社を辞められる?

法律上は、退職14日前に退職の意思を示せば辞められることになっています。つまり、退職の意思を示すと同時に14日間有休を使えばその日から会社に顔を出さなくて済むというわけです。

これを現実に実行されている方は滅多にいないでしょうが、切り札として常に頭の片隅に入れておいてもよいと思います。たとえばあなたが会社から不遇な扱いをされている場合、有休が14日以上残っていれば、14日後に辞めてよいのです。

ただし業務引き継ぎなども一切やらずの突然の退職ですから、会社と二度と顔合わせできないくらい決別する形となるでしょう。私物なども郵送してもらうか、処分してもらうような方法になります。「社会の常識」や「時季変更権」をちらつかせ出社を強要するかもしれません。

メモ:最近は大企業を中心として、有休消化率を高めようという動きが高まっていますね。労働者の有休は会社からしてみれば未払い給与(=債務)と同じですから、リスクと捉えるようになったのでしょうか。

メモ:わたしが勤めた福井県の会社では、有給消化率を上げるために、年間休日日数を121日から116日に減らした上で、差5日を「有休推奨日」として全社員に有休を取らせていました……。「労働条件の不利益変更でこんなの無効だ」と思いましたが、代表社員の合意を得ているので一応合法とのことでした。いくら合法とはいえ、社員のことを軽く見られていることが透けて見えますね。

関連記事:休日を減らされました。これって違法?労働条件の不利益変更とは

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