両親や身内の介護が必要になった時、今の会社では働き続けることが難しいと考えていませんか?
就業時間や休日などの条件が合わないことから介護のために仕事を辞めなくてはいけないと考える人が多いでしょう。
しかし、「介護休暇制度」を利用すれば、仕事を辞めることなく続けることが出来るかもしれないのです。
そこで、今回は介護休暇制度がどういった制度なのか詳しく解説していきます。
介護休暇制度と背景
介護休暇制度は「育児・介護休業法」によって定められている法律です。平成4年に施工された育児休業法に、平成7年より介護休業が加わって育児・介護休業となりました。
現在の日本は少子高齢化が進み、家族の介護が必要となる労働者は増え続けています。
家族の介護が必要になれば労働者は仕事の両立が難しく、介護を理由に離職するという問題が増加していることから、企業側が労働者を支援できるように制定されたのです。
現在、育児と介護については国からの支援が多く受けられるようになっています。
介護休暇制度とは
介護休暇制度は、高齢や病気などが理由で介護が必要になった身内や両親を介護する労働者に与えられる休暇です。
ただし、どんな状況でも誰でも利用できる制度というわけではありません。利用できる条件や、休暇日数は決められています。
そこで、自分が介護休暇制度を利用することができるのか条件や休暇日数を知っておきましょう。
介護休暇を利用できる労働者の条件
介護休暇を利用するには、労働者としての一定の条件をクリアしている必要があります。
- 要介護状態の家族を介護する労働者
- 半年以上の雇用期間を経ている労働者
全労働者が対象になるので、正社員だけではなくパートやアルバイトや派遣社員も対象となります。
ただし、雇用期間が半年以上であっても1週間の労働日数が2日以下の場合や、介護休暇申請後3ヵ月以内に雇用契約が終了するような場合には利用出来ません。
また、要介護状態とは、病気や怪我や精神上の障害によって2週間以上の常時介護を必要とする状態のことを指します。要介護認定を受けていなくても介護休暇の対象となります。
対象家族の範囲とは
要介護状態の家族を介護という条件がありますが、その家族にあたる範囲は、以下です。
- 父、母、子供、祖父母や兄弟姉妹、孫
- 配偶者(婚姻関係だけではなく事実上婚姻関係も含む)
- 配偶者の父母
取得できる休暇日数
介護休暇を利用して取得できる休暇日数は、介護が必要な対象家族1人につき1年で5日です。つまり、対象家族が2人であれば年間最大10日の休暇を得ることができます。
ただし、対象家族が3人以上になっても10日以上の休暇は取得することはできません。
また、休暇は1日単位ではなく半日単位でも使用できます。
介護の範囲
介護休暇が認められる介護の内容は、食事や入浴の介助、排泄、歩行といった日常生活のサポートを行うことです。そのため、病院への送迎や事務手続きといった内容も介護に含まれます。
また、入院している場合でも日常生活のサポートが必要な場合には介護として休暇を得ることができます。
介護休暇の申請と賃金について
介護休暇は労働者の権利として法律で保証されているので、紹介した条件を満たしていれば制度を利用することができます。
介護休暇を利用したい場合の申請方法や、最も気になる休暇中の賃金についても知っておきましょう。
介護休暇の申請方法
介護休暇を取得したい場合には、事業主や自身の直属の上司に申請します。会社によっては休暇申請の用紙がある場合もありますし、口頭で伝えるのみで済むいう場合もあるでしょう。
会社によっては医師による診断書も一緒に提出する必要があるので、事前に確認しておく必要があります。
介護休暇中の賃金について
介護休暇中の賃金は、労働者にとって最も気になる部分でしょう。
しかし、休暇中の賃金については法律で定められておらず、会社ごとに対応が異なります。会社によって給料の支払い有無が違うことから、事前に会社へ確認が必要です。
介護休業を利用した方がいいケースもある
介護休暇制度は仕事と介護を両立するための支援ですが、休暇日数や賃金に関して不安がある場合には、「介護休業」を利用するという選択肢もあります。
介護休暇と介護休業は似ていますが、利用できる条件や休暇や給付金に関する支援内容が異なります。
介護休業を利用できる労働者の条件
要介護状態にある家族を介護する労働者という条件は介護休暇と同じですが、雇用が1年以上継続されているという条件が異なります。
また、雇用が1年以上継続されていても、介護休業取得予定の日から93日後から半年までの間に労働契約が満了するようなケースでは利用できません。
取得できる休暇日数
介護休業の場合、対象家族1人あたり最大93日まで休暇を取得することができます。介護休暇と比べると休暇を多く取ることができるので、介護のための休暇日数を多く取得したい場合に向いています。
賃金と給付金の有無
賃金に関しては介護休暇と同様で法律で定められていません。介護休業の場合は休暇日数が多いので、賃金が支払われない場合には経済的負担が大きくなってしまいます。
そのデメリットをカバーできる給付金が、「介護休業給付金」です。給与の67%が給付金として支給されます。
ただし、介護休業給付金を受給するには以下の条件を満たしていなくてはなりません。
- 雇用保険加入者である
- 1年以上の雇用期間がある
- 休業開始予定日から93日を超えても継続して雇用の見込みがある
- 介護休業開始から10日以内に休業開始時賃金証明書を提出できる
また、「65歳移行の介護休業開始」や「介護休業開始時点で介護休業後の離職が決定している場合」には対象外となります。
こういった条件が定められているだけではなく、事前に申請するための書類なども必要となります。そのため、給付金制度を利用する場合には、事前にハローワークや労働相談窓口に相談してみましょう。
まとめ
介護休暇制度を利用すれば、介護を理由に退職することなく仕事と介護を両立できる可能性があります。休暇日数や賃金で不安がある場合には介護休業制度もあるので、自身の状況にあった制度を利用しましょう。
ただし、どちらの制度も利用条件があるので、まずは介護休暇が利用できるか知っておく必要があります。
退職を決めてしまう前に、まずは介護休暇・介護休業の利用について当会にご相談ください。