マイカーやマイホームを購入しようと思ったとき、考えるのはローンですね。
転職を控えている場合のローンは、「転職前・転職後」どちらがいいのでしょう?
寺野裕子さんプロフィール
保有資格 個人資産管理専門のファイナンシャルプランナー。 大手の生保会社に勤めたことをきっかけにFP資格を取得。 モットーは「ファイナンシャルプランニングは100人100様」 |
1級FPやCFP(FPの国際資格のようなもの)をお持ちで、これまで1000人以上の相談を受けられている寺野さんに、本当のところをお聞きしました。
住宅ローンなどを借りる際は「転職前のほうが有利」って本当ですか?
つまり転職してすぐだと「最低勤続年数」の項目にひっかかり、審査を通らない可能性があります。
転職後のほうが年収が高くても不利ですか?
平成30年3月に国土交通省が公表した「民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、金融機関が住宅ローンの返済時に考慮する項目を高い順に並べますと
・完済時年齢・97.2%
・健康状態・95.7%
・借入時年齢・95.6%
・担保評価・95.5%
・年収・93.6%
・連帯保証・92.8%
・勤続年数・92.7%
と続きます。
これを見ると「年収」は重要な審査項目となっていますが、重要度としては一番ではありません。「勤続年数」もそうです。
金融機関は、あくまでも「確実に返してくれる人か?」を重視しますので、前職からのスキルアップとしての転職や、同じ業種への転職で仕事を継続できそうな人だと判断されれば不利になることはないでしょう。もちろん年収がアップするのであればプラス要因ですね。
別業種への転職は不利ですか?
職種に一貫性がなく、たびたび転職を繰り返しているような場合には不利になる可能性はありますね。
残念ながら「雇用先の規模」を審査項目に入れている金融機関はわずか22.2%です。大企業だからといって特別有利でもないということが言えます。
目立った実績のない自営業者・フリーランス等は会社員の方と比べても、金融機関にとって信用力が低く不利といえます。たとえ独立して同じ年収を維持していても厳しいと思います。
ですから、フリーランスの場合は安定した収入を確保するための実績作りが先決です。
やはり金融機関でも一貫性は重要視するようです。転職前のほうが安定して審査に有利だということはわかりました。では、すでに転職してしまった場合はどうしたらいいのでしょうか?
すでに転職済みだと、運を天(銀行)に任せるしかありませんか?打てる対策などはありますか?
住宅ローンの審査は転職すると通らないというものではありません。
審査時には
・年齢
・転職理由
・健康状態
・物件の担保価値
・転職後の会社の状況など
これらを総合判断して確実に返済してくれる人かどうかを見ます。
ですから、転職したから不利という先入観は持たずに、まずは金融機関に相談してみてください。
また審査基準は金融機関によって異なりますので、審査が通るか心配という場合には複数の金融機関にあたってみるのもいいでしょう。
情報共有はされません。ですが「ローンの延滞記録がないか」などを信用情報会社に照会すると、照会履歴は残ります。
過去の審査結果の記録は残らないものの、後から照会を出した金融機関が「もしかして他で落ちたからうちに来たのか?」と思われ審査が厳しくなる可能性はあり得ます。
いずれにしても信用情報に問題がある場合、どれだけ金融機関にあたっても審査は通りません。審査に通らない理由が見つからず、「転職が理由では」と思われるのであれば、複数の金融機関を当たってみるのはいいでしょう。