失業後の空白期間が気になりますか?
一般的には就職していなかった時期を空白期間やブランクと呼びます。再就職をするとき、前職とのブランクが長いほど採用に影響が出るのではないか……そう考えてらっしゃる方も多いかと思います。実際のところはどうなのでしょうか?
▼採用担当者の90%が「空白期間は不利」と回答
ワークポート社のアンケートによると、実に90%もの採用担当者が「空白期間は不利」との回答をしています。
90%もの採用担当者が「不利になる」と答えました。その中でも約半数の人が、「最低半年以上のブランクがあると不利だ」と答えています。
引用元:職務経歴におけるブランク期間があると不利になりますか?
こういったアンケート結果を見るとますます「空白期間を作るのはよくないことだ」という意見が正しい気がしてきますね。ですが、「空白期間は不利だ。だから自分は再就職が大変なんだ」あるいは「そもそもブランクを作らないよう早めに動くべき」で終わってしまっていいのでしょうか?
今回お伝えしたいことは「空白期間があるか無いか」ということに囚われず、もっと正直に、自分を肯定した捉え方をしたらいいのではないかということをお伝えします。
▼それは「空白期間」ではなく「必要な期間」ではないでしょうか
就職していない期間があったとしても、皆さん様々な事情で生活をしています。それは資格取得のための勉強であったり病気の療養であったり、あるいは自分探しであったり長期の旅であったり趣味へのうちこみであったりと、様々な「経験」の積み重ねです。それは決して「空白期間」などとネガティブなイメージで終わるものでなく、「あなたに必要な期間」だとは考えられないでしょうか。
もちろん、病気の療養や心身の休養も立派な「経験」です。状況によっては業務を行うより辛いこともあるでしょう。それを乗り越えたか、いま乗り越えようとしていること自体、他者にはなかなか無い(真似しようと思ってもできるものでない)あなただけの貴重な経験です。
▼胸を張って話せるという「自己肯定感」が一番
その「空白期間」は必要な期間だったのですから、履歴書にも事実どおり記載することはもちろん、卑屈になる必要はなく、堂々と理由を説明できるのがいちばんだと考えます。
言い換えると「自己肯定感を高める」ことを優先して考えてみましょう、ということです。
先ほどの採用担当者のアンケート中の具体的な意見を見てみると
・離職期間中に何をやっていたか理由によるため、一概に不利とは考えません。
・スキルシートを見て判断しています。ブランクよりスキルを重視しています。
・離職中に何をされていたかによるため。
とある通り、空白期間を全否定しているわけではありません。
- ○○の療養に専念しておりました。
- 国内○ヵ所を見て回っておりました。世界○ヵ国を旅しました。
- ○○に打ちこんでおりました。
と言って相手が納得してくれればそれでよいわけです。採用担当者も意地悪で聞いているわけではなく、なにをしていたか気になるから聞いているにすぎません。それに対し堂々と回答すればよいわけです。
ただし「○○をしていました」だけでは弱いので、ここに「なぜそうしたいと思ったか」を付け加えます。
- なぜかというと、わたしはこれまで地元を出たことがなく、さまざまな価値観に触れる機会が少ないことをコンプレックスに思っていました。それならばこの機会に、と思って行くことにしました。
- もともと絵を描くことが好きなのですが、ちゃんと勉強する機会がありませんでした。この際じっくり腰を据えて絵を学ぶ機会を作ろうと決意して、集中して取り組んでいました。
そして最後に「その経験をした結果、どうなったか」を付け加えます。
- これまで長期間の療養をしたことがなく分からなかったのですが、ほとんど何もできないということは想像以上に辛いものがありまして、長く安定して働けるということは当たり前のようでいて、とても感謝しなきゃいけないことだと実感しました。
- 例えばインドではYESを表すとき、首を横に振ります。その振り方もニュアンスによって微妙に異なったりします。このように、知識としては知っていても実際に見ると受け取り方が違ったり、場所が変わるだけでルールが全く変わるということを身をもって実感しました。そこから、自分がいま当たり前に行動していることも、実はもっと変化ができて、そこに新しい可能性が潜んでいるんじゃないか、などと常に自分の中で問いかけるようになりました。
- 例えば絵を投稿するコミュニティでは、互いに褒め合いつつ改善点を指摘するという暗黙の文化があることを知りました。こういったコミュニケーションがあるから次の絵を描こうというモチベーションにも繋がり、結果としてお互い切磋琢磨ができました。これはどの分野においても適用できる話だと思い、どこからでも能力向上であったり業務改善の種は見つかるんだなという発見がありました。
▼メラビアンの法則・・・自信を持った話し方をしましょう
メラビアンの法則というのをご存知でしょうか。これは人と会話したとき、話の内容(言語情報)よりも話しているときの見た目や話し方(非言語情報)がその人の印象を決める、というものです。
視覚情報:話し手の表情や身だしなみ、身ぶり手ぶり・・・55%
聴覚情報:話し方(声の大きさや速さ、抑揚)・・・38%
言語情報:話す内容そのもの ・・・7%
この法則に従うなら、話の内容の説得性は「最低限あれば良い」と割り切って、より自信のある話し方や表情、細かい身だしなみに気を遣ったほうがいい、ということになります。ここからも自己肯定感を出し、いかに自信のある話し方ができるかが大切かということが分かりますね。
※メラビアンの法則の根拠となる実験は限定的な条件下であり、言語情報がたった7%というのは過小評価されているのではないか、という意見もあります。
「空白期間は不利」としながらも「異業種は積極的に受け入れたい」現状
「異業界、異業種からの人材採用に積極的ですか?」というアンケートの結果を見ると、51%と約半数がYESと答えており、業界内で経験できること以外の経験を求めている姿勢がうかがえます。
積極的だと答えた採用担当者の意見を見てみると、「若手でやる気のある方であれば、未経験でも活躍していただける可能性がある」、「業界の色に染まっていない人材を育てたいため」、「人物面を重視して採用しているため」(中略)「未経験者育成システムがあるから」という意見も複数あり、研修制度が整備されている企業は、異業種・異業界からの未経験人材採用に積極的なようです。
いかがでしょう? いわゆる「空白期間」に行っていたあなた独自の経験は、ある意味異業種と呼べると思いませんか?そう考えることも自己肯定感を高める1つの方法です。
逆に異業種に積極的でない会社は、「ゼロから育てる余裕がない」などの理由があり、そもそもしっかりとした教育をしてくれる会社なのか?業務を投げっ放しにするおそれはないか?そのような会社を希望したいか?という問題もあります。
▼本当に何もしていないケース
いわゆる空白期間に「必要な休養(療養)」でもなく「時間をかけてやりたいことがあった」でもなく、本当にただ働く気が起きなかった、就職したくなかった、といった場合はどうでしょうか。
この場合もやるべきことは変わりません。まず嘘は書かないことは大前提です。嘘をつくのではなくて、解釈を変えるのです。
たとえば、「なぜ就職したくなかったのか」を掘り下げます。
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働くのが辛い
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なぜ辛い?
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前職で疲弊した経験がある
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なぜ疲弊した?
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人が少なく業務量が多い
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改善はできなかった?
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そんな余裕はなかった
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別の問いかけ:余裕がなかったは言い訳で、「改善の方法が思いつかなかった」可能性は?
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あるかもしれない
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あるいは「同じ悩みを共有できるメンバーがいなかった・人間関係の問題」という可能性は?
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あるかもしれない
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今回それらが解決できれば継続して働ける?
↓
そうかもしれない
ここまで自問自答を繰り返しました。するとこういう話し方はできないでしょうか?
- 前職で○○関係の業務に携わっていたとき、なにぶん少ない人数で業務を回していましたのでみんな常に手一杯で、常に残業といった感じで交流や業務改善する余裕もありませんでした。そこから退職して、今度はもっとゆっくりと働ける場所を探したいと思いながら長いあいだ再就職先を探していて、この期間が空きました。・・・というのが理由なのですが、1ヶ月ほど前、ふとアドラー心理学の本を読んだ際に「原因があるから結果があるのでなく、実は結果が先に来ている」という話がありまして。つまりどういうことかというと、当時「忙しいから業務改善する余裕がなかった」というのは言い訳で、「業務改善なんて面倒なことに着手したくなかったから忙しいと思い込んでいた」可能性がありました。もっと言えば「忙しいから社員同士の交流がなかった」というのも思い込みで、忙しくても社員の交流がある職場はあります。そこから考え方が変わりまして、わたしがゆとりある職場で働きたいと思うなら、まず自分が率先してゆとりある職場作りをする責任があると考えるようになりました。常に改善の余地を問いかけるような思考に切り替えたいと思います。
繰り返しになりますが、なんといっても正直に話し、相手の目をまっすぐ見て話せる態度です。嘘を混ぜてしまえば、話すときにうろたえたり目が泳いだりして、すぐに見抜かれます。