「自分は病気じゃない、大丈夫」みんな最初はそう言います。

全国退職者支援会の利用者様のなかには、私たちが「そのままでは精神疾患が悪化する可能性があるので、一度病院に行きましょう」と提案すると、「いえ私は病気ではないので、大丈夫です」とおっしゃられる方が少なからずいらっしゃいます。

ところが何とか当会の担当者が説得して受診していただくと、やはり精神疾患を患っていたというケースが多いのです。

この記事を読んでいる人は、なんとなく自分の心や体がいつもと違って調子が悪いことに気づき始めているはずです。大切なのは、その感覚を見逃さず、きちんと専門家に診てもらうことです。

精神疾患は自覚しにくいうえ、真面目な人ほど「自分は心の病気にかかるほど、弱い人間ではない」と考えがちです。

しかしそうやって病気を放置していると、症状が深刻化し、状況はどんどん悪化していきます。そうならないためには、早い段階で専門家の判断をあおぐ必要があるのです。

ここでは精神疾患が持つ特徴や、日本人が抱いている間違ったイメージ、早期発見・早期治療の重要性について解説します。この記事がみなさんにとって、自分の心の声に耳を傾けるきっかけになれば幸いです。

精神疾患は自覚症状がわかりにくい病気

憂鬱な表情の女性

精神疾患の初期症状は「生活習慣・性格の問題」で片付けられがち

・夜寝つきが悪い
・朝早すぎる時間に目がさめる
・何事にもやる気が出ない
・物事に集中できない
・極度のあがり症 など

これらは全て精神疾患の初期症状です。

しかし生活習慣やもともとの性格とも関連性が高いため、例えば周りの人に「最近夜の寝つきが悪くて」と相談しても「スマホの触りすぎじゃないの?」などと言われたり、自分でも「体内時計の調子が悪いんだろう」程度にしか考えなかったりと、問題視されずに見過ごされてしまいがちです。

そのため精神疾患はなかなか自覚されず、水面下で悪化していってしまうのです。

気づいたときには泥沼状態……精神疾患の「負のループ」

ずっと水面下でおとなしくしていてくれればいいのですが、残念ながらそうはいきません。精神疾患が悪化してくると、症状が負のループを描き、状況はどんどん悪くなっていきます。

最初不眠症状を感じた人が、特に治療をせずにいると、うつであれば徐々に得体の知れない不安感が大きくなっていきます。「仕事でミスをしたらどうしよう」といった考えがぐるぐると頭の中を巡るので、次は会社に行くのが怖くなります。

その頃には、本来心配しなくてもいいようなことまで心配するようになっているので、頭の中が心配事でいっぱいになっています。無理をして会社に行っても仕事に集中できず、「うっかりミス」をしょっちゅうするようになります。

するとますます失敗への恐怖が強くなり、「なんて自分はダメなんだ」という自己否定感も高まっていきます。お酒を飲める人はお酒の量が増えるので、心だけでなく体の調子も悪くなっていき……。

精神疾患の多くは「脳の病気」と言われています。そのため悪化すると正常な判断ができなくなり、どんどん深みにはまっていくのです。

真面目な人ほど「自分は病気じゃない、大丈夫」と考えがち

腕でばつ印を作る女性

初期症状に気づかずに放置すれば、精神疾患は恐ろしい結果を招きます。しかし日本人には、実際に患っている人も含めて、精神疾患に間違ったイメージを抱いている人がたくさんいます。例えば以下のようなものです。

・心の病にかかるのは「弱い人間」だけ。(自分は強い人間だから)私は大丈夫。
・心の病なんて気の持ちようでどうとでもなる。医者にかかる必要なんてない。 など

特に真面目な人ほど「自分は病気じゃない、大丈夫」と考えがちです。しかしこれらは知識不足や偏見からくる勘違いです。

例えばうつを含む「気分障害」「不安障害」という2つの精神疾患だけに限定しても、日本人の4人に1人が一生の間に心の病にかかっていることがわかっています。

また全世界の優秀な医師たちが精神疾患についての研究を進め、様々な治療方法や薬を開発しています。気の持ちようでどうとでもなるのなら、ここまでする必要はないはずです。

精神疾患に対する世の中のイメージをすぐに変えることはできません。しかし自分の心を自分で守ることくらいなら十分可能です。だからこそ考え方を変えて、自分の心のケアに目を向ける必要があるのです。

「早期発見・早期治療」がとても大切な2つの理由

指をさす女性

ではどうすれば自分の中の精神疾患のイメージを変え、症状が悪化していくのを防ぐことができるのでしょうか。

答えはシンプルです。自分の中の「なんだかいつもと違うな」と感じた段階で、心療内科や心理カウンセラーにかかり、「早期発見・早期治療」につなげることです。

「早期発見・早期治療」というとガンや糖尿病の話のように思えますが、精神医療の世界でも近年は軽症のうちに治療することが、心の健康を守るためには必要だと考えられています。

その理由は大きく2つ。すなわち「脳へのダメージが少なくて済むから」と「社会的なダメージも少なくて済むから」です。

脳へのダメージが少なくて済むから

先ほど精神疾患が脳の病気だと書きましたが、実際精神疾患が悪化していくと脳の神経に様々なダメージが現れます。

一昔前は「脳へのダメージで失われた機能は二度と復活しない」という説が有力でしたが、今は症状の深刻さ次第では治療によって回復可能だということがわかっています。

ただし、この治療の効果が十分期待できるかどうかのボーダーラインがあります。それが「発症から3〜5年」とされているのです。

もっと早く適切な治療を施せば、もっと早く確実に心の健康を取り戻せるはずです。このように考えると、心の病における「早期発見・早期治療」がいかに重要かわかるのではないでしょうか。

社会的なダメージも少なくて済むから

精神疾患が悪化したことで会社に出勤できなくなり、休職や退職をしなければならなくなることも少なくありません。実際「地方銀行で若くして支店長になったにもかかわらず、うつになって退職せざるを得なかった」といったケースはたくさんあります。

こうした社会的なダメージを取り戻そうと思うと、かなりの時間と労力が必要になります。もちろん休養が必要なのであれば休養をとるべきです。しかし、しなくていい苦労ならしない方がいいに決まっています。

だからこそ「早期発見・早期治療」を心がけ、深刻化する前に心のケアをすることが大切なのです。

まとめ

日本での精神疾患に関する理解は、実際に精神疾患にかかっている人も含めて、まだまだ不十分です。そのため、きちんと自分の心は自分で守る必要があります。

そのためにはまず早期発見・早期治療を心がけ、自分の中の「なんだかいつもと違うな」という違和感を自覚することが大切です。

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自分の中の「なんだかいつもと違うな」に気づくために、ぜひ活用してください。

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