世の中、「転職ブーム」だと思いますか?
あなたも、こんな覚えはないでしょうか。
- ブログを見ていると、転職記事がおおい
- いまや「転職は当たり前」という風潮がある
なぜおたずねしたかというと、わたし自身がそう感じたからです。
「昔とくらべて転職は一般的になってきたんだな」と感じたのですが、同時に「果たして本当にそうなのだろうか?」と考えました。
統計データによると「転職率」は変わらない
厚生労働省の統計局のデータで調べてみたところ、転職率はそんなに変わらないことが分かりました。
年 | 転職率 |
---|---|
2007 | 5.4 |
2008 | 5.3 |
2009 | 5.1 |
2010 | 4.5 |
2011 | 4.5 |
2012 | 4.6 |
2013 | 4.5 |
2014 | 4.6 |
2015 | 4.7 |
2016 | 4.8 |
2017 | 4.8 |
参考:総務省統計局 労働力調査 グラフ作成:全国退職者支援会
なんと2007年(5.4%)よりも2017年(4.8%)のほうが転職している人の割合が若干、少なかったんです。
さらに遡ってみても、2001年は5.1%。2017年の4.8%とほぼ変わりません。どの時代を見ても「20人に1人」という転職割合は変わらないということです。
この数値が「ここ数年は10%に上がった」なら分かります。でも現実は0.3%程度の違いです。これってどういうことでしょう?
「新卒3年以内の離職率」はどうか?
「新卒3年以内に何割が離職しているのか」の推移も見てみましょう。
3年で3割が辞めるってよく言われますが、この割合が年々上がっているなら「やっぱり20代の転職熱は高いんだ!」と言えますよね。
これが離職率の推移グラフの引用です。
大学卒業年 | 3年以内の離職率 |
---|---|
1992年(平成4年)卒 | 23.7% |
1996年(平成8年)卒 | 33.6% |
2006年(平成18年)卒 | 34.2% |
2016年(平成28年)卒 | 32.2% |
引用元:厚生労働省-新規学卒者の離職状況
いかがでしょうか?年代により数%の差はあるものの、そんなに大きくは変わらないように見えませんか?
「若者は3年で3割が辞める」の定説はずっと変わっていない、ということになります。
転職はむしろ高年齢が盛り上がっている
全体の転職率も変わっていない。
若者の転職率も上がっていない。
では、残るは?
そこで参考になるレポートがありました。
Economic Trends マクロ経済分析レポート 人手不足が変える日本経済③
こちらの第一生命経済研究所の分析レポートによると、なんと30代以下より、40代以上の転職のほうが盛り上がっているというのです。
転職者数の年齢別推移をみると、45歳以上の転職者数増加が牽引役となっている。定年後再雇用者や 65歳以後の再就職者が増加していることに加えて、就業人口のボリュームゾーンである団塊ジュニア世代が 40代後半に達し始めていることが背景にあると考えられる。
とあり、
- 中~高齢者の転職者数が増加している
ことを指摘しています。
さらに読みすすめると、レポートは「若者の働き手そのものが少なくなっている」とも読み解いています。
つまり、「25~34 歳の働き手自体が少なくなっていること」が、転職者数の減にも影響しているということだ
まとめると
- 40代以降の働き手が増えて、転職が増えている
- 30代以下は働き手そのものが少ない=若者の転職が減っている
- 原因は日本人口の高齢化の影響が考えられる
「転職が活発に見える理由」考察
わたしの力量では、「転職市場が活発になっているのか?」の正体をみやぶることは残念ながら出来ませんでした。
最後にわたしの考察をお伝えしてこの記事を終わります。
考察1.ネット、スマホの普及で「見かける頻度」が上がった
2000年代からパソコン・インターネットが普及して
2010年代からはスマホが普及しだしました。
どんどんネットでの情報取得はかんたんになっていくわけです。ネットサーフィンという言葉ももはや死語かもしれません。
2000年代以前なら、会社や窓口に出向かないとなかなか転職エージェントなどと知り合うことはできなかったと思います。ですが、いまならサイトに飛んで情報登録で一発でメールや、電話がかかってきますもんね。転職をとりあつかう企業(リクナビNEXTなど)もネット集客に力を入れているということです。
要するに、目に留まる機会が激増したんです。増えてるように見えるんです。企業は、あなたやわたしをリターゲティングしてるということです。
リターゲティング・・・iPhoneやスマホの検索履歴から、あなたの興味がありそうな広告を表示し続ける機能(場合によってはしつこくてうざいやつです)
考察2.企業が広告費をかけるようになり「見かける頻度」が上がった
- ネット広告、CM
- アフィリエイト
- PR記事
『考察1』のネット、iPhoneの普及に伴って、現在では企業も対ネット、対iPhone広告に注力をしています。
アフィリエイトの仕組みをご存知の方なら説明する必要はないと思うのですが、あなたもこんなブログ記事は見たことありませんか?
例
- 「転職を考えるなら絶対登録しておきたいサイト3選」
- 「自己PR文を書く前に、自分の強みをチェックしよう!」
これらのタイトルの記事内容を、注意ぶかく眺めてみてください。どの記事も最後は「○○サイトへの登録はコチラ!」ってなっていませんか?
※押しても反応しません
これがアフィリエイトと言われるもので、つまり企業がブログを書いているユーザーに「1登録あたり8000円払うから、記事書いてね」などと宣伝しているわけです。
だから「あっ、また転職サイト紹介かぁ」と転職サイトが多いな、と感じてしまうわけです。これはやっぱり、20代やわたしのような30代に多い経験だと思います。
転職市場が伸びているのは事実
ためしに転職サイトのDODAを運営しているパーソルの株価を見てみると、
2008年 166円
2018年 2400円
この10年で実に約15倍です。株価だけでは一概に語れるものでもありませんが、投資家たちがどれだけ「就職・転職市場に期待を寄せているか」がわかりますね。
あなたはどう思いましたか?ご感想などいただけると嬉しいです。